経営者対談

株式会社ラッシュジャパン 人事部長
「安田 雅彦」×ワクセル

株式会社ラッシュジャパン 人事部長の安田雅彦さんにインタビューさせていただきました。

安田さんは西友、グッチグループジャパン(現ケリングジャパン)、ジョンソン・エンド・ジョンソン、アストラゼネカという名だたる企業を経て、2015年より株式会社ラッシュジャパンにて人事部長をつとめられています。

一般に人事部というと、もしかしたら「普段の業務であまり関わりのない人」「会社をマネジメントする側の人」のようなイメージを持つ方も多くいらっしゃるかもしれませんが、安田さんご自身は社員とのコミュニケーションをとても大切にされています。

「なぜ社員とのコミュニケーションを大切にするのか」「人事として活躍し続けている秘訣」など、安田さんの考えや経験を沢山お話いただいたのでぜひ最後までごらんください。

つねに自分の価値を高めていくことでキャリアアップする

インタビュアー:ご自身のキャリアで、一番大事にされてきたことをお聞かせください。

安田:自分にどれだけ市場価値があるのかを常に意識してきました。

マーケットでは、いかに会社に貢献できるかがその人の価値です。

自分は常に成長しているか、マーケットで必要とされているかに目をむけていました。

日頃の仕事においても、きちんと実績をつみ、どこにいても貢献できるようになることを考えています。

社員の幸せを一緒に考えることも人事の仕事

インタビュアー:西友時代、L.L.Bean JAPAN に出向し、同社の会社清算に伴い全社員の契約を解除するという経験をされたそうが、振り返るといかがですか?

安田:全員としっかり向き合い、新しい道がその人のためになると信じて話をしました。

とても大変な経験でしたが、この経験があったからこそ、人事のプロとして生きていこうと思うようになりました。

人事としていろいろな社員をみていると、会社の評価基準にあわない人もいます。そのような人には、ほかの場所で活躍することを提案するときもあります。

わたしはその人のためを本気で考えて提案をしています。一生懸命頑張っているにもかかわらず、何年も低い評価をされているのは、幸せじゃないと思うからです。

人事は社員との信頼関係が大前提

インタビュアー:人事という仕事は、ある意味で社員から非難されることもあると思いますが、仕事に対するモチベーションをどう保っていますか?

安田さん)おっしゃるように人事という仕事に、嫌われ役のイメージをもっている人は多いです。しかし、わたしはただ非難されるということがないように、まず人としてコミュニケーションをデザインすることを大事にしています。

”人事は相手の立場に立って、言うべきことを言うべきである。”

「逃げない、嘘をつかない、ごまかさない」がわたしの信念です。

当然、厳しいことを言う場合もあります。ただ、そこには大前提として相手との信頼関係があります。

「安田が言ってるんだから、それが正しいんだろう」と思われるくらいの信頼関係をつくることが大切だと思います。

リーダーもマネージャーも、任せて見守ることが大切

インタビュアー:リーダーとして大切にしていることをお聞かせください。

安田:人気アイドルグループNiziUを生み出したJ.Y. Parkさんも言っていましたが「リーダーとしてふるまい、人を育てるのにふさわしい自分でいる」ことです。

自分が率先垂範で行動するからこそ説得力がでます。部下や仲間に「難しい仕事をどんどん取りにいけ」と言うなら、まず自分がやるべきだと考えています。

インタビュアー:チームづくりについて、大切にされていることを教えてください。

安田:信頼してマネージャーに任せるようにしているし、なにか伝えたいときはマネージャーを通すようにしています。

マネージャーたちに任せる理由は2つ、「マネージャーの育成」と「社内での露出による知名度アップ」です。

マネージャーはいつも暇であるべきだと思っています。実務をもたず、部下になにかあればすぐサポートできるようにしておく。

もちろん、難しい問題がおきて僕が対処したほうがいいこともあります。状況に合わせて自分が出ていく場合と、マネージャーに任せる場合を決めています。

あとは信頼関係がとても重要ですよね。わたしとマネージャーの会話はおもに雑談です。

ミーティングでも4割は仕事以外の話をしているくらい、雑談は大切だと思っています。

これは古い考えと言われるかもしれませんが、マネージャーには「本気を出したら、プレイヤーとしても、俺の方が凄いぞ」という自負も必要です。

もちろんその自負を表に出して部下と張りあう必要はないですが、刀をさやにおさめているイメージでもっておくといいです。

自分でもできるけれど、あえて任せるというスタンスです。そして、任せたらほったらかしにするのではなく、ちゃんと見守ることを意識するといいと思います。

人事は社員と会社に誠実に向き合う

インタビュアー:決めたことをやり切るために大事にしていることを教えてください。

安田:最後までやり切るのと、やり切らないのは全然違います。

30年のキャリアの中で仕事を投げ出したくなったこともありますが、それを乗りこえてきたからこそ成長できたという実感があります。

やりとげることで、マーケットにおける自分自身の価値が上がり、結果として新しいポジションを得られ、新しい仲間と出会えました。

インタビュアー:どの会社へ行っても素晴らしい結果を残されてきた原因はなんでしょうか?

安田:社員に誠実に向きあい「逃げない、嘘をつかない、ごまかさない」を守ってきたからではないでしょうか。

人事は会社側の人間です。西友時代の上司に「社員が『会社は・・・』と言う場合の会社は人事のことだ」と教わりました。

なので人事は誠実に、会社が決めたことは正しいんだ、社員にとっても最善の選択である、と信じてコミュニケーションをとるべきだと思っています。

チャレンジこそが成長のチャンス!

インタビュアー:最後に、ビジネスや事業にチャレンジして成功したいと思っている人へメッセージをお願いします。

安田:チャレンジすることが大事だと思います。「これは無理だ!」と思う壁にぶつかったときこそが成長のチャンスです。

背伸びすると、背伸びの分だけ伸びしろが増えます。たとえ失敗したとしても、なぜうまくいかなかったかを学べます。

だから失敗を恐れずどんどんチャレンジしてください。変化を求めましょう。


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