経営者対談

株式会社HIROWA代表
「和田裕美」× ワクセル

株式会社HIROWA代表の和田裕美さんにインタビューをさせていただきました。

和田裕美さんは、外資系の営業からキャリアをスタートされ、ファンづくりという営業スタイルから世界2位の営業成績をお持ちのお方です。「陽転思考」という、考え方の癖を現実的に変えていくことを提唱しており、ビジネスコンサルタントや作家、テレビ番組への出演など、幅広く活躍されていらっしゃいます。

今回は、結果を出し続けるために実践されていること、女性が力を発揮するために意識すべきことなど、和田裕美さんにしか聞けないことを深掘りしてお聞きしました。起業を通して、自分の人生にワクワクしながら目標達成していきたい私たちにとって、取り入れていきたい学びがあると思います。

輝かしい業績をお持ちの和田さんですが、どのような幼少期を過ごされていましたか?

和田:私の両親は自営業でした。小説『タカラモノ』は、私の育った環境のモチーフとして書いているんですけれど、お父さんがご飯を食べないように炊飯器を隠しているような子どもだったんです。ちょっとぐちゃぐちゃで辛かったため、その時に「生きていく」ということを考えるようになりました。

幼少期は、よく紙芝居を描いていました。当時は友達があまりいなかったんですよね。友達とどう喋っていいかわからないし、遊ぼうって家に来た時も、隠れるような子どもでした。誰とも接するのが嫌だったから、ひとりで紙芝居を描いていました。

インタビュアー:お友達とはあまり交流しない幼少期を過ごされたとのことですが、どのようなきっかけから外へ出て行くようになったのですか?

和田:仕事するようになって……人間て徐々に変わっていくんですよね。人間はずっとそのままじゃなくて、変わるきっかけがあります。挫折があったから、瞬間的に変わるのではなく、大人になるうちに、ちょっとずつ改善していくんですよ。

例えば、学生時代にバレーボール部に入ってみると、スポーツが苦手だったとしても、補欠で入ってみる。身体を動かすことで、自信につながるんですよね。ランニングをやると、インドアからアウトドアになったりして、ちょっとだけ性格が変わっていきます。あとは周りの友達が変化することでも影響を受けますね。

中学・高校・大学で、ちょっとずつ変わっていきました。それでも私はおとなしかったんですが、少しずつ、じわじわと牛歩のように変わりました。そして、新卒で入った会社の勤務先が東京になり、たまたま東京での生活がスタートしました。

東京は、色々な地方の方が集まっていますよね。私は京都の宇治市という田舎出身です。私の時代の女子は、特に四年制大学に行く人が少なかったし、田舎でもあったため、周りの人はいい大学へ行こうという感じでもありませんでした。東京に出ると環境的にみんなが勉強して、みんなが良くなっていきます。私は、普通に大学を出て普通に就職して、そのまま東京に出てきたときのカルチャーショックが大きかった、有名大学出身の方がいっぱいいて、頭のいい人が普通にウヨウヨしていて、さらに変化を感じるようになりました。

会社員時代、上司にたくさん叱られたり苦しい経験をされてきたことが本にも書いてありました。どのタイミングでスイッチが入りましたか?

和田:仕事をこなしていく過程で徐々に変わっていったと思います。

最初のお客さんから工夫し始めていく。今まで人生の中で、達成感を持ちませんでした。自分のことをすごいって思ったことが、そんなにないんです。それでも1個ずつ目標達成をすると褒めてもらえる環境があり、すごく楽しくなる。自分って頑張ればできるんだと気づきました。1つ1つの工夫が、やってみたら活きるというトライアンドエラーみたいで面白かったですね。

私は世の中にいつも流されているんですよ。会社に入ったら、周りに流されて、揉まれていった。スイッチが入ったというよりは、そんな感じです。

インタビュアー:女性が稼げるチカラを身につけたらいいなって思います。女性と話していて感じるのは、「誰かのためには頑張れるけれど、自分のために頑張るという人が少ない」ということです。和田裕美さんの著書にも自分のために頑張るって書いてあり、とても共感しました。

和田:人のためにやってることが自分にとって嬉しければ、自分の為だと思います。

人の為って書いて「偽り」って読むじゃないですか。人間は、本能的に自分が一番可愛いと思っています。ボランティアなどで一生懸命に活動している人は、「ありがとう」と言われる自分に存在意義を感じて頑張っていると思います。感謝を感じる自分でありたいってことが、結果的に自分が好きってことなんだと言い換えられるのではないでしょうか。

「人のために生きる自分でありたい」と欲望も、言っているその人自身が美しく人のためにと思っています。穿った見方をすると、すべて自分の欲求なのではないかと思ってしまいますね。そのため、自分のために頑張るほうが良いと思いますね。

男女の共生を実現するために男性側が力になれるとしたら、どんなことがあるとお考えですか?

和田:(男性のインタビュアーに対して)凄い!!優しい~!!!素晴らしい~~!!!!

逆に、同じ人間なんだと思うことですかね。「女性だから」と特別扱いしないことが、一番の優しさではないのかと思います。もちろん、力の加減や体力など、そういったものには差があるので棲み分けていく。仕事上で「女の人だから難しいよね。女の人だからこういった仕事で大変だよね」などといったバイアスが掛かっちゃうと、反発しますね。

あとは、男性ホルモンの量も関係していると思います。男性ホルモンが強いと、女性を守りたいと思う心理が強くなっちゃいます。強くありたいから、守りたいという気持ちが芽生えます。守りたいと思っていると、守っちゃいます。守ることと、人を育てることは同じではないので、一緒にやっていこうとしてもうまくいきません。

もともと男性は、自分より年齢が高い、収入が高い、学歴が高い女は許せないと思っています。男性ホルモンを調べると科学的にそう言われているため、女性には弱くいて欲しい、可愛くいて欲しいという心理が出てしまいます。

そうすると、女性もすごく力があるのに可愛くいようと演じてしまいます。言葉を謹んだり、可愛くいようとすると、自ら進んで手を上げなかったり、男性を立てようとして、自分は引いてしまいます。ビジネスシーンであっても、どうしても出てきちゃうんですよね。

だから女性側には「可愛いを捨ててくれ!」と伝えています。
女らしさとは可愛くあることが大事。でも、「可愛く扱って欲しい」という気持ちは捨てていかないと、主体的に動くことがなかなかできなくなりますし、勇気がなくなることもあります。

男性側は、そういった心理があるということを理解しながら、喋り方やアプローチの仕方、ロジックの作り方など、意識することが大切です。女性は割とプロセスを話すことが多いので、男性は我慢して聞くということですかね。もちろん、女性側も注意しなくてはいけなくて、男性に喋るときは、結論を先に言って、後から理由を添える喋り方をした方が良いです。

嶋村:ボクの周りで頑張っている女性の仲間は、男性に引けをとらず、バリバリに仕事をするかたが多いです。インタビュアーのみなさんは、ちょっと可愛らしさを取り戻してくださいね(一同爆笑)。

和田裕美さんは、可愛らしさの中に力強さと柔らかさをを感じます。普段から意識されていることはありますか?

和田:私は営業の世界にいましたが、セールスのイメージを変えたいので、スーツやジャケットなど堅めに見えるものは着ないようにしています。

「営業で世界2位!」と言うと、会う前からみんな怖がるんですよね。ものすごい怖い女が来るんじゃないかなど思われてしまいます。おまけに名字が和田なので、芸能人の力強い女性を連想するんですよ(笑)。もうちょっと可愛らしい名字だったらまた違うんですが、【和田で世界No.2】って、ダブルで強そうなものも影響していますね。

強そうにしちゃうと強さが出すぎちゃいます。仕事柄でも強さが出過ぎちゃうので、足し算と引き算だと思って、意識的に印象は変えています。女性起業家やセミナーをやっている方は、割とカチっとされている方が多いので、あえてそうならないようにしています。そんなに中身怖くないのに最初からオドオドされたら、ものすごい嫌だなって思います。

インタビュアー:和田裕美さんはとても若々しく、キラキラ輝いていて素敵です。いつまでも綺麗でいらっしゃる秘訣はありますか?

和田:そんなの、わからないですよー(笑)。
多分、最初から、年齢という賞味期限があることを認識していたら、潔く生きられます。なんかそこに頼らない方が、自分は努力するかもしれないですね。若さに頼ってしまわないことがすごく大事なんですよね。

インタビュアー:セロトニンやホルモンの話、男女の特性や生物学的なことなどは、普段から学んでいらっしゃるのですか?

和田:学んでいるのではなくて、読書や人の話を聞いたりして覚えます。

例えば、女性の話ってロジックがないってよく言われます。私もそうですが、「たのしー!」という感じで雰囲気で喋ってしまうことがあるんですけれど、女性の話の欠点なんですね。

対して、男性の話にはロジックがあります。根拠論や理由がある方が、男性には受けやすい話になります。そういう特性を考えると、男性と女性が会場にいらっしゃるときは「なぜ?」という話を意識的に盛り込むようにした方が良いんじゃないかと思っており、あえて入れています。

論理的な情報を意識的に入れる際に、科学的な情報が役に立つので、ずっと話を聞きに行っていました。

男女の特性の違いを理解することで、役に立ったという経験はありますか?

和田:男女の違いについて質問されることもあるのですが、質問されると、ちゃんと答えられないといけないなって思っています。本を読んだり勉強をしているんですが、自分としても知りたいと思っちゃいます。

付き合った男性が、なんでこんなにこの人マウンティングするんだろうとか。なんで、こんなに威張るんだろうとか。みなさん、ないですか?

一同:あります!(一同爆笑)

和田:なんでこんなところで、威張る人がいるんだろうかって思うと、いるんですよね。でも、不思議なもので、どうしようもない性質があるんだなと納得すると、許せたりしませんか?

「仕方ないじゃん、男性ホルモンだもん」「そういった生き物なんだもん」と思うと、それも違う生物だから許そう、みたいな。どんどんマウンティングしてくださいという気持ちになります。理由を知らなかったらすごく腹が立つことが、理由を知っていると、解釈が変わる。自分の対応も変わる。なんでかな?って思うことは調べるようにしていました。

インタビュアー:そういった知識をどんどんと積み重ねていらっしゃるのですね。

和田:そうです。1個1個の知識は薄っぺらいんです。学校行ったわけではないし、専門的に学んだわけではありませんが、人と会話をするときは専門的なことはいらないですよね。そのため、ちょっとずつしか知らないです。

営業で世界2位という経験もありながら、今でも業績を伸ばされ続けていると思います。その原因はなんだと思いますか?

和田:「運も強さ」……全然理由になっていないと思うんですが、運が強いんだと思います。

自分の実力以上の事が結果になっている気がするんです。世界2位は「マグレかな」って未だに思います。自分でもなんでなれたのか、あんまりわからないんですよね。もっと凄い人はいっぱいいたんですよ。自分より凄い人やもっと努力している人、行動量がある人はたくさんいたはずです。

本は継続的に売れ続けたんですが、私が世界2位の本を出して、売れた後に出版会社に「私も売ってた」、「同じ会社で和田より売った」という人が殺到しました。殺到って言っても10人くらいなんですけれど。

私はタイミングが良かったんだと思います。先輩や後輩の中には、私よりもっと売った人が当然いるわけです。実際に日本に来て30年以上経つので、私より長い人、大活躍している人もいるから、その人達の言い分も当たっています。ただ現実問題、タイミングが良かったんだなと思っています。

私は、基本的に単純なんです。上司たちに「お前はできる、すごいよ!」って言われたら、「私ってすごいんだ!」と思っちゃう人間なんです。単純さで、上手く行ったんじゃないかなと。乗せられるとやっちゃう性格なので、狙えるんじゃない?ってポイントが見つかると、チャンスかーってなるんですよ。

ノッてる時でも、逆に全然駄目な時でも、最後まで励まされたりすると、大丈夫だと思って続けられます。継続していると、奇跡的な事が数字とリンクするんです。例えば、最後の日にたくさんのお客さんが来るとか。まさかの大逆転みたいなことが、ラストワンデイで起こります。世界ランクで言うと、10番以下の人が、たった1日で塗り替えるなど、9回裏で大逆転みたいなことが何回かあるんです。その根拠って知りたいじゃないですか。

私は毎日仕事をやっていて、「これくらいでいいかな」「今日はこれくらいでやめておこう」と思う時こそ、あと1回やってみようと思うんです。あとひとりだけに声をかけてから帰ろう、あと1本だけ電話かけてから帰ろうなど。

「あと1個」やるのを365日やると奇跡が起きやすくなるという法則があります。積み上げていると、それは奇跡じゃなくて「あと1個」が重なって、結果的に金鉱を掘り当てたみたいになっているんです。毎日のあとひと振りが、それを叶えていると思っています。でもたったひとつの差だと思います。

和田さんが大事にしている人生の格言や座右の銘はありますか?

和田:若い頃は「成功者は走り出してから考える」という言葉を上司に言われたのを覚えています。悩まずやってみて、走りながら色々なことを解決すればいいじゃないかと言われてましたね。

「二兎追う者は三兎も得る」や「出る杭は打たれ強くなる」など、ひとつの常識から超えた考え方も好きですね。これらの言葉を自分の中に投げかけて、よし頑張ろうって思っていました。

インタビュアー:走っているときは、夢中という感じなのでしょうか?

和田:たぶん、嶋村さんも同じだと思うんですけれど、成功されている人は、夢中という感覚はないと思いますよ。やる前に考えたりしている。考えている意識もなく体が動いていると思うんです。

やろうかなって思っていることを、聞いている最中には、もうその場にいなくて走り出しているみたいな。成功されている方は、スピード感をお持ちなんじゃないかとちょっと思っています。数秒間の差で掴み取りに行くのがお上手だと思うんですよね。

「ホイッスル」や「よーいどん!」が要らないんですよね。「さぁ、いきますよ。スタートしてください」という掛け声が必要なく、思った瞬間にばって行ける人が多いだろうなと思います。

最後に、若手起業家に向けてメッセージをお願いします!

和田:「今日、即決する!」

「決断する」など色々と言ってきましたが、やる気や才能は、色々とあります。これは以前メルマガにも書いたことですが、起業する中で人間が一番やられやすいのは、倦怠感、飽きやすいことだと思うのです。

長く続けていると、だんだん飽きてきません?仕事って。

恋愛も仕事も3年がピークで、だんだん新鮮さがなくなって飽きてくる。手を抜ける感覚が身についてきて、だいたい合ってくると仕事を辞めたくなります。業績が悪くなった原因は、世間が変わったではなくて、トップの人が飽きているのかなって。なんか熱量が半端なく下がることがあると思うんです。

どうやったら人は目の前の仕事を飽きずに続けられるか。それがテーマではないのかなと考えています。

新しいことをしてみたり、新しい人と出会ったり、なんか新鮮な気持ちになったり。改めて会社の中で良いことを探してみたり、こういった風にやったら面白いかなど。そんなことで、自分が続けていこうと思えるかですね。

本当に10年やって企業など6.3%しか残らないって言われているので、100社あって6社しか続けられないのは、売上が伸びないのではなく、単に飽きたからだと思っています。

みんなが売上が伸びなくて、撤退している人が多いんじゃないかなって思われがちですが、「辞めてやっぱりサラリーマンやろう」、「上手くいかなかった」というのは、仕事に飽きてしまった事に原因です。やり方次第で10年後に10社でも20社でも残ると思っています。

なので飽きない(商い)で続けてください。

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